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手頃な価格が人気の広島パン店「ドリーム」、閉店へ-店主の引退で

スタッフから「奥さん」の名称で親しまれる谷路子さん。慣れた手付きでスライサーに掛けた食パンを袋に詰める

スタッフから「奥さん」の名称で親しまれる谷路子さん。慣れた手付きでスライサーに掛けた食パンを袋に詰める

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 住宅や小売店、事務所が並ぶ広島の段原地区で営業するパン店「焼きたてパン ドリーム」(広島市南区段原、TEL 082-261-1168)が2月24日、閉店する。

棚にパンを陳列した様子

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 路面電車が走る比治山通り近くに店を構える同店。約17坪の店内では、店主の谷泉(たにいずみ)さん(62)と妻・路子さん(60)、長男・忍さん(32)が中心となって、定番商品の食パン(1斤、195円~)や菓子・総菜パンなど70~80種類を販売してきた。

 利用客は、主婦やビジネスパーソン、小学生など幅広い。地域の住民だけでなく、郊外から車で購入に訪れる人の姿も目立つ。客単価は500~600円。原材料の高騰により2008年、初めて商品価格の5%値上げに踏み切ったが、現在でも100円台の商品を中心にそろえる。

 閉店は谷さん夫婦の高齢によるもの。「元気なうちに閉店セールを行い、感謝の気持ちを表したかった」と路子さん。「遠方に暮らす親族や知人の病気見舞いなどにも行きたい」とも。足を運ぶにも、店を続けながらでは難しいと判断した。

 店頭では閉店を告知した1月29日から、パン全品を10円引きで販売。先週に入り、来店客だけでなく、取り置きなどパンの注文が「通常の10倍ほど」に増えた。路子さんは、日に何度も店内と工房を行き来し、メモを取りながら追加生産するパンを確認。焼き上がったパンは随時、店内に並べるが売り切れも多い。スタッフも通常の1人から3人に増員して対応に当たっている。

 創業15年を迎え、来店客からは閉店を惜しむ声が多く、目当てのパンを購入しようと毎日訪れる客も少なくない。谷さん親子の人柄に引かれ、白島から通っていたという女性は先日も来店。「冷凍して少しずつ楽しむ」とトレーいっぱいにパンを載せた。会計後には谷さん夫妻に、「これまでありがとうございました」と花を手渡した。閉店後に引退する谷さん夫妻へ、常連客から贈られた花やエプロンなどのプレゼントは、店内に飾っている。

 営業時間は7時~19時30分。同所には3月、別の経営者がパン店を開く予定。

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