「国境なき医師団」制作のドキュメンタリー映画、広島で上映会

写真=MSFのTシャツ姿で講演する渡辺医師

写真=MSFのTシャツ姿で講演する渡辺医師

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 国境なき医師団制作のドキュメンタリー映画の上映と広島出身の現地派遣スタッフによる講演会を組み合わせたイベント「MSF DAY 2007 国境なき医師団 in 広島」が9月8日午後、広島国際会議場(広島市中区中島町)で開催された。

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 1971年、フランスで設立された国境なき医師団(MSF)は、世界約70カ国に医師、看護師、助産師らを派遣して医療援助を中心に活動する非営利団体(日本支部は1992年に設立)。1999年にはノーベル平和賞を受賞。年間約4,700人が世界各国に派遣されている。

 上映された映画は3作品。スタッフがスピーカーを手に持って「MSFが無料で治療します」と呼びかけるシーンから始まる「ハイチ2005 終わらない暴力」(25分)は、ハイチの首都・ポルトープランスの「最も暴力の深刻な地域」に隣接したサン・ジョセフ病院での活動内容をまとめたもの。緊迫した手術の様子や「(武装勢力であっても)患者であれば誰でも治療する」という人道援助のジレンマなどがリアルに描かれている。「アンゴラ 飢餓と栄養失調」(23分)では、重度の栄養失調のため体の皮膚がただれて泣き叫ぶ子どもの映像に会場からは鼻をすする声も。「国境なき医師団2005-06ハイライト」(23分)では「パキスタン地震-緊急援助」、「スマトラ島沖地震・津波」、「チェチェンー正常化への局面」などMSFの活動が端的に紹介された。

 広島県出身の外科医師・渡辺浩志さんによる講演では、人口100万人をカバーするインドネシアの病院に派遣された2週間後にジャワ島中部地震が発生。緊急チームの1人として現地に向かったこと、被災地の人々の表情が想像以上に明るかったことなど、活動写真のスライドショーを交えて体験談を語った。「参加のきっかけは好奇心だった」と渡辺さんは話す。海外派遣では、「手術の前に必ず承諾を得るという医療背景の事情や日本にはないアシスタント制度などを経験するなど別の視点から物事を見られるようになった」(渡辺さん)という。「大変なこともあったが結果的に楽しかった。やりたいことはやっておくことが必要。人生観も変わった」と渡辺さん。

 同イベントに参加した親子は、「息子が医師を目指しているので何か感じてもらえれば」(母親)と思い、会場に足を運んだという。若干13歳で医師を志す理由は、昨年に心臓病を患った父親を医師に助けてもらったのがきっかけ。特にイベントの映像に対しては「正直ショックだった」と動揺が隠せない様子も。

 最後にMSF日本事務局長のエリック・ウアネスさんは「活動には医療関係者としてだけではなく、たくさんの選択肢がある。今日のイベントを周りの人に話してもらえるもの支援の1つだ。我々の信条は『命を助けること』」と話し、「どうか私たちをに力を貸してほしい」と締めくくった。

国境なき医師団日本

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