「歌が好きで歌手になったんじゃない」-こまどり姉妹の半生をつづった映画「こまどり姉妹がやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!」の広島公開を来月に控えた2月9日、広島市出身の片岡英子監督が故郷で記者会見を行った。
同作品は、北海道・釧路の貧しい家庭に育った双子の姉妹・長内栄子さんと敏子さんが主人公。2人は、歌が好きだったわけではなく、「門付け」として日銭を稼ぐために生活の手段として歌っていたが、「門付け」よりも「流し」の方が稼げると聞き、一家で上京。浅草で流しを始め、やがて座敷で歌うようになったとき、芸能界入りを果たす。
21歳でのレコードデビュー後、映画やNHK紅白歌合戦にも出演していたが、敏子さんはステージ上で熱狂的なファンに刺されるトラブルやがんに冒されての闘病生活に、両親が亡くなる不幸など次々と2人に悲劇が襲いかかる。「奇跡的」にがんから回復した敏子さんは、栄子さんとともに1983(昭和58)年に再出発。レコードデビューから50年を迎えた現在でも、全国のステージを意欲的に回っており、一昨年は「日本レコード大賞功労賞」を受賞した。
片岡監督は、2人に2005年から3年以上にわたって密着。制作過程では、「2人分の波乱万丈な人生の話を聞くだけでも膨大な量で、内容と流れを把握する作業に時間がかかった」。半生を知るにつれ、「歌手や歌を歌う人は好きでなるんだと思ったので、嫌でも歌わなければならない状況が衝撃的だった」と話した。
こまどり姉妹が出演している歌とトークで構成される歌謡ショーは「行かない人や知らない人でも楽しめる。多くの人に見てほしい」と姉妹の魅力を語った。
同作品は3月6日~19日、広島シネツイン本通りで公開予定。公開初日には片岡監督の舞台あいさつも予定している。