「顔は人間の究極のヌード」―写真家・アラーキーが広島で撮る「広島ノ顔」

広島市現代美術館、地下1階のミュージアム・スタジオで行われた記者会見の様子。

広島市現代美術館、地下1階のミュージアム・スタジオで行われた記者会見の様子。

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 「顔は人間の究極のヌード」と話す写真家、アラーキーこと荒木経惟さんが、広島に住む人を撮影する写真展「広島ノ顔」への参加応募が4月17日から始まり、同日会見が開かれた。同展は、5月3日に開館20周年を迎える広島市現代美術館(広島市南区比治山公園、TEL 082-264-1121)で開催される。

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 「今まで広島を作ってきた人、現在活躍している人、未来を背負う人たちをあらゆる角度から撮る」(同館)同展では、「死と生」をテーマに荒木さんが「広島のことを思って撮った」花の写真と撮影した肖像を展示する。花は毎週日曜に自宅の食卓で取り続け、「一番撮り続けている」という。

 会見で荒木さんは、花を撮影し始めたきっかけが枯れかかった彼岸花を撮影したことや、撮影を続けていくきっかけが妻の死だったことも明かした。入院中だった妻が朝、危篤で病院に駆け付ける際に、つぼみの状態だったこぶしの花を持って行ったが、時間が経って妻が亡くなったときにつぼみだったこぶしの花が咲いた。その花を撮影してから「私に花を撮らせ続けている感じがする」と話し、「大切な死に対する思いを広島にぶつける」という。テーマについて、「特に花の方は死が絡むが、肖像の方が『生』に向かう生き生きしている顔を撮りたい」とも。

 撮影は、同美術館の地下1階のミュージアム・スタジオ内に設置した特別スタジオと4月にオープンしたJR広島駅そばの新球場「マツダZoom-Zoomスタジアム広島」の2カ所で行う。スタジオ内では、白いバックを背景に撮影する。「白バックは未来も過去もその人のすべてを写し出す」と荒木さん。「今生きている人の顔が何かを感じさせてくれる。いろんな人と出会って、私なりの広島に接したい」。

 選考基準については、自分の先入観や好みを基準に選ぶと広がりがなくなるため、「私が選んだのではなく神が選んでもらったと思ってもらって、それを私が愛して撮る」と手振りを交えて話した。

 「日本人ノ顔」は全国47都道府県すべての地域に暮らす人々を撮影し、総計数万人の日本人の肖像を記録しようという試み。撮影は、2002年に「大阪ノ顔」から開始、以降「福岡ノ顔」「鹿児島ノ顔」「石川ノ顔」「青森ノ顔」「佐賀ノ顔」と実施し、広島での開催は7回目。撮影総数は都道府県によって異なるが400組~840組。応募総数は、1,200組~5,200組と全会場で撮影総数を上回った。撮影したすべての肖像写真は、写真集として発行する。

 撮影総数は450組で、募集締め切りは5月16日。応募用紙は、同美術館や県内の市町村役場、公共施設などに設置するほかウェブでのダウンロードも可能。

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