
広島城天守(広島市中区基町)が2026年3月22日に閉城する。中国放送(代表法人)を含む民間企業11社による共同事業体「広島城アソシエイツ」が4月23日、広島城ウェブサイトで公表した。
現在の天守は、1958(昭和33)年に建てられた鉄筋コンクリート造の5階建て。広島市が同年4月~5月、原爆投下から13年が経過した町の復興の成果を国内外に示すために広島市内の3会場で開催した大規模な博覧会「広島復興大博覧会」の会場の一つとして再建した。安土桃山時代に建てられた木造の大天守は1945(昭和20)年8月に原爆の爆風で倒壊している。
現在は主に広島の武家文化を紹介する博物館として、天守内の刀剣やよろい、瓦などを展示しているが、築後65年以上が経過し、老朽化や耐震性の不足が指摘されていた。広島城天守の閉城に向けた検討は、2023年11月の「広島城天守の復元等に関する検討会議」から本格的に始まった。複数回にわたって有識者による議論が行われ、2024年11月の同会議で、現存する鉄筋コンクリート造りの天守の解体と木造による天守群(大天守、東小天守、南小天守、東廊下、南廊下)の復元を目指す方針が確認された。
広島城の収蔵品は、広島城三の丸に建設中の「広島城三の丸歴史館」に移す計画。歴史館は2026年度内に開館予定という。閉城までの間、天守ではさまざまな催しを企画する。広島城アソシエイツの担当者は「最後の1年に足を運んでもらい、記憶にとどめてもらえれば」と話す。