ガンダムについて学問することの可能性を探ろうと「国際ガンダム学会準備会議」が8月24日、厚生年金会館横のアステールプラザ市民ギャラリー(広島市中区加古町)で開催された。主催は国際ガンダム学会。
通称「ファースト」と呼ばれる機動戦士ガンダムのオープニング曲「翔べ!ガンダム」をはじめ、歴代のガンダム主題歌が会場で流れる中、会議が始まった。
大学教授を中心とする認識者によるキーノートセッションでは、言語学、医学・心理学、物理学の観点から3人がスライドを使用して発表。言語学を専門とする福島祥行さんは「ジオンなまり」や「地球連邦語のベース言語」について動画を交えながら説明。ガンダムならではの用語や解説に、会場からはたびたび笑いが起こった。医学・心理学では山口悦子さんが「宇宙世紀の福祉」や「死生観」を、物理学では高橋徹さんが「加速器」の話を披露した。中でも加速器は、作品中に出てくる「ビームライフル」や「メガ粒子砲」の粒子ビームを作るが、現在では、がんの放射線治療に使用されていると、現代社会とリンクさせた例を挙げた。参加者の中には、携帯電話のカメラでスライドを撮影する姿も見られ関心の高さをうかがわせた。
ガンダムを学術研究の対象として活動している同学会。20年以上にわたって人気を博し、国際的に評価されているガンダムは、現在もシリーズとして続いているため今後も議論が続く。発起人の1人、杉浦幹男さんは「ガンダムシリーズで提起されている『未来都市』への展望と都市の諸問題の観点から科学技術の進歩と人類との間に何が生まれるかが課題」と話す。マスコミ報道をはじめ、予想外の反響に戸惑いながらも、広島での第1回開催へ向けて協議を重ねていく。
当初、登壇者をパネリストとしたフリーディスカッションを行う予定だったが、キーノートセッションが延長になったため、見送りとなった。