戦艦「大和」に関連する大型の工作機械の中で唯一現存する超大型旋盤「15299機」の一般公開が3月5日、大和ミュージアム(呉市宝町)で始まる。
超大型旋盤「15299機」は、1938(昭和13)年にドイツ・ドルトムント市のワグナー社から輸入し、呉海軍工廠(こうしょう)砲煩(ほうこう)部砲身工場に設置された大型工作機械。「旋盤」は金属塊や部品などを回転させながら削る機械で、15299機は戦艦大和が誇る世界最大級の主砲身などを削り出した。
大きさは、幅5メートル、高さ5メートル。重さは約219トン。金属塊などを取り付けて回転させる面盤の直径も3.2メートルある。面盤は反対側に設置された刃物に向けて金属塊を押し込んで切削する仕組みで、大和を建造した当時は長身の工作物も加工できるように面盤と刃物側との両端は長さ40メートルに及んだという。
戦後は改造が加えられたものの、ほぼ原型を留めた状態で使われてきた。15299機を引き取りたいと、所有する企業に依頼した時は、まだ現役で稼働していたためかなわなかったが、企業から新しい工作機の導入により、大型旋盤を手放すという連絡を受けて、大和ミュージアムで引き取り、展示したいと企業から譲り受けた。
大和ミュージアムは、新型コロナの影響を受けて、来館者数は100万人から25万人に減少。長引くコロナ禍により、感染対策費がかさみ、大型旋盤がある兵庫県播磨町から大和ミュージアムへ輸送、設置する費用の財源の確保が困難になり、ふるさと納税型クラウドファンディングに挑戦し、資金調達を行なった。
クラウドファンディングでは、調達目標を3段階に設定したところ、開始から12時間で第1目標の4,800万円が集まった。その2時間後には、第2目標の7,200万円を達成。翌朝には、第3目標の1億円に到達した。最終寄付総額は、2億6948万円。1億円を超えて集まった支援は、大型旋盤の展示方法の充実や今後必要となるメンテナンス、資料収集などに活用する。
一般公開は大型旋盤除幕式後。除幕式の開催時間は8時30分~9時。