ニュートンワークス株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長 山梨敏数)は、2026年4月16日(木)に東京・京橋において「なぜ1Dなのか?」宇宙開発の知見に学ぶ!複合物理モデリングの本質と熱エネマネへの展開」のセミナーを実施しました。

筑波大学 教授 大門 優先生
当日は会場が満席となる盛況ぶりの中、特別講師としてJAXAで宇宙開発を牽引してきた第一人者である筑波大学 大門教授をお招きし、宇宙開発の過酷な現場で培われた1Dモデリングの重要性と、設計の本質を突く貴重なご講演をいただきました。
多くのエンジニアが3D CFD(流体解析)の膨大な計算時間と、現実との乖離に頭を悩ませる中、大門氏が辿り着いたのは「入力条件そのものを自ら定義する」という視点でした。
「渡された流量や温度は本当に正しいのか?」という疑問を出発点に、上流工程からの物理現象をシミュレーションで検証するため、1D解析を導入。3Dの簡略版としてではなく、システム全体の因果関係を把握するための戦略的ツールとして1D CAEを位置づけた軌跡が紹介されました。
今期打ち上げが予定されているH3ロケットの心臓部、「LE-9」エンジン。その開発において、1Dシステムシミュレーションソフトウェア
「SimulationX」が大きな役割を果たしました。
- 再生冷却・相変化・燃焼反応を統合した高度な物理モデルの構築
- 地上試験では再現困難な極限環境下での挙動予測
- システム全体の安定性確保に向けた迅速なフィードバック
大門氏は、自ら実験を行いデータの正しさを証明することで、社内に解析の重要性を浸透させてきました。実機試験とシミュレーションを高度に融合させるスタイルこそが、宇宙開発の難題を突破する鍵となりました。

姿勢制御スラスタの「接触点火」のような、物理現象の把握が極めて困難な領域においても、大門氏は「可視化」への信念を貫きました。複雑な着火現象を1Dモデルへと落とし込むことで、制御担当者との共通言語を構築。エンジニア同士のコンフリクトを乗り越え、協調設計を実現したエピソードには、会場の聴講者からも深い共感が寄せられました。
講演の締めくくりとして、大門氏は1Dシミュレーションに対する定義を次のように提言しました。
「1Dは3Dの簡略版ではない。物理・因果的な詳細さと空間的な詳細さを使い分けることが重要であり、次元の優劣ではなく、設計者の『思考の解像度』こそが重要である」
さらに、「設計解析とは何を計算したかではなく、何を理解したかで決まる」という力強い言葉で結ばれた本講演は、単なる技術論に留まらず、次世代のエンジニアリングの本質を突くものとなりました。

同セミナーでは、ニュートンワークスからも実務に直結する2つのセッションを実施いたしました。
- 「システム解析に向けた熱源と熱流体回路のモデリング手法」
複雑な熱流体システムを効率的に解析するための具体的なモデリングアプローチを解説しました。
- 「『詳細』と『全体』の相互作用から最適化:街から電池までを繋ぐ熱・エネルギーシミュレーション」
ミクロなデバイスからマクロな都市インフラまで、熱マネジメントを統合的に捉える最新のシミュレーション技術を紹介しました。
ニュートンワークスでは、今後も解析技術を通じ、複雑化する設計課題の解決と価値創造に貢献してまいります。
開催されたセミナーはこちら
https://www.youtube.com/watch?v=XycDmRxchyQ
熱・エネルギーマネジメントソリューションのご紹介【YouTube再生時間:約4分】
1DCAEとは
「いきなり図面を描き始める前に、まずブロック図を使って『論理的に動くか』を確かめる賢い設計スタイル」
3D CAEと対比させて1DCAEという1次元の1Dという意味でもありますが、「1D」は一次元という意味を超え、「物事の本質をシンプルに表現し、見通しを良くする」という設計の考え方で、形状がない設計上流でシステム全体を俯瞰してシミュレーションする手法です。
SimulationXとは
Keysight Technologiesが開発する1DCAEソフトウエアです。
操作性が良く、専任者だけでなく現場の設計者、実験担当者にも展開しやすいGUIが特徴です。
日本ではニュートンワークス(株)から販売しています。
ニュートンワークス株式会社とは本社:東京都中央区。代表取締役社長:山梨 敏数。 CAE(Computer Aided Engineering)を事業の核に据え、高度な技術力で製造業を支える独立系エンジニアリングソリューションプロバイダーです。同社の強みは、製品の物理的な挙動をミクロな視点で緻密に捉えるFEM(有限要素法)解析から、システム全体の振る舞いを上流工程でマクロにモデル化する1D-CAE(システムシミュレーション)まで、製品開発の全フェーズを網羅する広範なソリューションを提供できる点にあります。
単なるソフトウェアベンダーに留まらず、長年のサポートやコンサルティングで培ったノウハウを凝縮した自社開発ソフトウェア群「NewtonSuite」を展開している点も大きな特徴です。これら最新のソフトウェア販売に加え、経験豊富なエンジニアによる高度な解析コンサルティング、受託解析、専門的な技術トレーニングまでをワンストップで提供。自動車、エネルギー、など多岐にわたる産業分野において、日本の製造業が直面する課題を技術の力で解決し、次世代の製品開発をトータルにバックアップしています。
【本件に関するお問い合わせ先】
ニュートンワークス株式会社
マーケティンググループ
電話番号:03-3535-2631
メール:info@newtonworks.co.jp