広島の郷土芸能「神楽」で観光客を誘致-旧日銀で週末を利用して上演

「夜神楽」で高井神楽団(佐伯区八幡東)が演じた「八岐大蛇」。狭い舞台の上を4頭の大蛇が動き回った。

「夜神楽」で高井神楽団(佐伯区八幡東)が演じた「八岐大蛇」。狭い舞台の上を4頭の大蛇が動き回った。

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 被爆建物に和楽器の音色が響いた――県外からの観光客を増やそうと11月21日から袋町電停そばの旧日銀広島支店(広島市中区袋町)で週末の夜を利用した神楽が上演されている。主催は広島市商工会議所。

客席を沸かせた「八岐大蛇」

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 神楽は、秋の収穫を終え、豊かな実りを授けてくれた800万の神々と先祖の魂を迎えて奉納する農耕儀礼。全国的にさまざまな形で保存・伝承されており、広島の県北では、島根県石見地方から約150年前に伝わった「石見系神楽」として知られている。「儀式舞い」に加え、神話や歴史上の人物を神楽化し、娯楽性の高い演目に仕上げているのが特徴で、戦後は能や歌舞伎などの物語を神楽にして演目を増やし、芸術性を高めていった。近年では、舞台効果も加え「舞台芸術」として評価されるようになり、全国でも独自の文化を持った郷土芸能と言われ始めた。

 「夜神楽」では、県内に約250団体あるとされる神楽団の中でもトップクラスを集め、各日「八岐大蛇」を含む2演目を上演する。本来8つの頭と尾を持つ「八岐大蛇」は旧日銀の1階フロアに設置された舞台に合わせ4頭で登場。仮設された客席に飛び出んばかりの迫力に度々歓声が起った。上演に当たって、舞台の天井から下げられる赤・紫・緑・黄・白の天蓋(てんがい)も通常使用される本物を使用し、こだわりを見せている。

 これまで各日とも来場者は300人を超え、用意した150席の座席は満席に。暖房設備のない、旧日銀には厚着をした人が多く集まり、広島市内で神楽の人気の高さをうかがわせた。

 上演時間は19時30分~21時10分。上演日は12月5日、6日。問い合わせは広島市商工会議所(TEL 082-222-6651)まで。同7日からは広島市主催の神楽の上演が行われる。上演時間は16時~。上演日は12月7日~同21日までの土曜・日曜と23日。問い合わせは広島・宮島・岩国地域観光圏推進協議会(TEL 082-504-2243)まで。

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