故・岡本太郎氏の「明日の神話」-広島に「1号原画」を初寄託

写真=手渡し式の様子。左から、平野理事、秋葉市長、原田館長

写真=手渡し式の様子。左から、平野理事、秋葉市長、原田館長

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 岡本太郎記念現代美術振興財団(東京都港区)が広島市に「明日の神話」の原画を寄託する手渡し式が6月6日、広島市現代美術館(広島市南区比治山公園)で行われた。

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 「明日の神話」は、故・岡本太郎氏が「原子爆弾が炸裂する瞬間を描きながらもその惨劇から立ち上がろうとする人間」をテーマに描いた巨大壁画。恒久設置場所の招致には、渋谷、広島、吹田の3地域が申し入れていたが、今年3月18日に東京都渋谷区への恒久設置が決定した。

 広島市が同財団に対し、故・岡本太郎氏がこの作品に込めたメッセージを広島から何らかの形で具体的に伝えることで、核兵器を廃絶するための世論が高まっていくことを期待して協力依頼をしていたことが寄託の背景にある。

 手渡し式には同財団の平野焼臣理事と清水事務局長、秋葉忠利広島市長、広島市現代美術館の原田館長が参加した。平野理事は「恒久設置について先が見えていないときから、被爆地である広島と長崎から誘致の申し出があり、感謝の気持ちと結果のずれにどうしたらいいか悩んだ」と述べ、原画の寄託について「平和を未来に語り継いでいく広島に置かれることは最も価値がある」と話した。

 寄託されたのは、故・岡本太郎氏が巨大壁画「明日の神話」を製作する際に描いた5枚の原画のうち、同財団が所有する「1号原画」(1967年制作、油彩、縦48センチ×横195センチ)。渋谷に設置されたものとサイズこそ違うのものの全く同じ作品。「1号原画」について平野さんは「太郎が最初に自分の中にわき上がったイメージをたたきつけたのがこの作品」と説明した。故・岡本太郎氏の作品が寄託されるのは今回が初めて。「恒久設置の選考中には全く考えていなかった」と平野さん。契約上は3年更新だが、その先は自動更新される見通し。作品は同財団の財産なので寄贈はできないが、今後寄託をすることはないという。

 設置場所は、広島市現代美術館(広島市南区比治山公園1)。原画の展示については、同館で平和記念日の前後などに故・岡本太郎氏の他の作品とともに展示を行う予定。

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