太鼓や笛などのお囃子(はやし)に合わせて華やかな衣装と表情豊かな神楽面を付けた人々が物語を題材にして舞う郷土芸能「神楽」の無観客ライブ配信が3月28日、広島県北の神楽門前湯治村(安芸高田市美土里町)にある「神楽ドーム」で開催された。
主催はひろしま神楽活動再開プロジェクト。「広島広域都市圏協議会『神楽』まち起こし協議会」を中心に、神楽に関わるさまざまな関係者が連携して、2020年5月に活動をスタートさせた。
2020年度の神楽公演は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、約150公演が中止や延期になった。多くの神楽団では、練習も取りやめており、広島における神楽衰退(すいたい)の危機にもつながりかねないと懸念する同団体では2020年7月、安心して公演を再開できるよう、関係者向けに新型コロナ感染防止対策ガイドライン講習会を行った。
8月下旬には、コロナの影響を受けている観光事業者をクラウドファンディングで応援する事業「HITひろしま観光応援プロジェクト」を活用して、神楽の無観客ライブ配信を県内4カ所で開催。今月28日のライブ配信は当初、神楽公演の再開に向けた有料公演を予定していたが感染状況を鑑み、2回目の無観客ライブ配信へと切り替えた。
ライブ配信は2部制で、県内の神楽団がそれぞれ演目を披露した。1部は「土蜘蛛」宮之庄神楽団(北広島町)、「御神儀(清女の舞・猿田彦)御敷舞」大草神楽保存会(三原市)、「土蜘蛛」上中調子神楽団(広島市)が登場。続く2部では、「神武」河津原神楽団(廿日市市)、「土蜘蛛」横谷神楽団(三次市)、「山姥」安野神楽団(安芸太田町)、「大江山」原田神楽団(安芸高田市)が神楽を舞った。
映像は1回、2回目共にひろしま神楽活動再開プロジェクトのホームページで公開する。同団体では今後、定員を減らすなどの感染防止対策を行った上で、神楽ドームでの定期公演再開を検討しているという。