広島・呉を舞台にした漫画「この世界の片隅に」に登場する作品ゆかりの地や歴史的建造物などを紹介する街歩きガイドマップ「すずさんが暮らした呉」の配布が3月27日、呉市内の観光案内所や広島駅総合案内所で始まった。
ガイドマップは呉観光協会が制作。2016年に公開されたアニメーション映画が契機となり、作品に登場する場所を巡りたいというファンのニーズが高まってきたことから、同協会では作品に登場しない場所も含めて呉の街を広く知ってもらいたいとマップ制作に取り組んだ。
制作には出版社の双葉社と建築好きが集まった市民団体「アーキウォーク広島」が協力し、漫画に出てくる呉市内の場所を制作チームが独自に作品から読み取り、マップ内に落とし込んだ。
同作は呉市内に実在する場所が作品の世界観を構成する重要な要素となっており、マップでは作品に登場する場所だけでなく、当時の面影を留める旧呉海軍工廠の施設や川原石の商店街なども紹介する。同協会では、「これらを巡ることで『今』の呉を通して『あのころ』の呉を知り、『今』の呉への理解を深める一連の体験の提供を意図している」と説明。エピソードごとに作品を思いながら散策してほしいと5つのウオーキングコースを設定し、主要バス路線やバス停も記載した。
マップはA2サイズ(折り畳むとA5)で灰ケ峰(はいがみね)から主人公すずと周作が呉の市街地や呉港を望む構図にした。両面カラー印刷で、初回発行枚数は1万部だが、配布から1週間で5000枚の配布を終えており、同協会では増刷を検討している。マップは呉観光協会のホームページからもダウンロードできる。
同作品は3月20日発売のコミック誌「漫画アクション」(双葉社)誌面で連続ドラマ化が発表されたほか、ロングラン上映となったアニメ映画は長尺版が制作されている。7月22日からは呉市立美術館で原画展が行われる。来年3月には、すずが嫁いだ呉市の「北條家」として登場する場所が「すずさんに逢える丘」として整備される予定。計画地は灰ケ峰中腹の空き地で、原作者こうの史代さんの祖母宅があった土地という。