日本に「インダストリアルデザイン」の概念を普及したパイオニアとして知られる榮久庵憲司さんの作品展「榮久庵憲司の世界展」が11月18日、広島県立美術館(広島市中区上幟町、TEL 082-221-6246)で始まる。
卓上しょうゆ瓶や新幹線まで幅広いデザインを手掛け、国内外から高い評価を受けるインダストリアルデザイナー榮久庵さんと自身が設立したGKインダストリアルデザイン研究所をはじめとするGKデザイングループによる作品を集めた同展。「アート」「ものづくり」の垣根を取り払い、全4パートに渡って多角的に作品を紹介する。
主な作品は、「しょうゆ卓上瓶」やモジュールユニットによる組み合わせ可能な災害支援空間システム「QS72」、新交通システム「アストラムライン」など。「QS72」は、東日本大震災の被災地に00ユニットが送られ、病院で仮設診療所やボランティアセンターとして活用された。
榮久庵さんの活動の原点は、被爆直後の広島。焼け野原で見た、壊れた電車や自転車などの物から、もっと役立ててほしいという声を聞いたという。明日からの開催を前に開かれた内覧会では、「広島の街で育った人間の一人として、こういう場を与えられたことをうれしく思う」とコメント。さまざまな仕事を通じて「人」と「道具」のあるべき関係の提案を続ける。会期中は茶道上田宗箇流家元の上田宗冏さんとの対談や講演会などの関連イベントも開催する。
開催時間は9時~17時。12月23日まで。観覧料は一般=1,200円、高校・大学生=900円、中学生以下無料。