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広島でアートプロジェクト「Manda-la」-原爆ドーム前で撮影、400人参加へ

アートプロジェクト「Manda-la」広島版の撮影風景

アートプロジェクト「Manda-la」広島版の撮影風景

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 原爆ドーム近くで9月29日、写真家の宇佐美雅浩さんによるアートプロジェクト「Manda-la」広島版の撮影が行われた。

写真の撮影イメージ構図

 プロジェクトは東日本大震災をきっかけに撮影していた作品の方向性が変わっていったという宇佐美さんが発起人となって企画。沖縄から北海道まで、各地で困難な問題と向き合いながらもたくましく生きる日本人の姿を撮影し、写真を見た人が、「日本人はまだ大丈夫かもしれない」と笑ってもらうことを目的に取り組む。

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 写真は仏教絵画「曼荼羅」の表現様式をもとに構図を決める。1 枚の写真には中心人物を設定。人物の世界を表現するために撮影地域の人々の協力を取り付け、人と物を実際に並べて撮影する。各地で撮影した写真は写真集「Manda-la」で発表するほか、ギャラリーでの展示も検討。写真集の利益は被災地に届けるという。

 広島での撮影は被爆者から成る「きょう竹会」代表の早志百合子さん(78)が主役。9歳のときに爆心地から1.6キロの距離にあった自宅で被爆した早志さん。1945(昭和20)年8月6日8時15分から現在、そして未来をつなぐ写真で広島と原子爆弾というテーマを表現しようと撮影には中学生以上の大人や4カ月~1歳の乳児、妊娠中の女性ら400人以上が参加した。映画の美術監督として活躍する部谷京子さんらスタッフも50人を超えた。

 早志さんの右側には原爆が落とされた当時をイメージ。被爆者が喪服を着てダイインするほか、被爆した瓦や残骸を並べ、拡大して印刷したキノコ雲の写真を背景に置いた。現在や未来を表す左側には、人工芝生の中にキョウチクトウやカンナなどの花を並べ、白い衣類をまとった乳児や妊娠中の女性を登場させた。

 「気持ちを込めてカメラを見よう」と撮影に臨んだ早志さん。目に見えないことも表現するつもりで用意された中央の椅子に座ったという撮影後には、「これだけの人が集まったことに対して感謝の気持ちで涙がこみ上げてきそう」とコメントした。

 写真集の発売や写真展は被爆から70年を迎える2015年春を予定する。