世界最大級の版画が現在、広島・横川の家具店「小田億Finds本店」(広島市西区横川町1)で展示されている。
全長163.8メートルにおよぶ巨大な木版画「奇跡の時空(とき)」は、版画家君島龍輝さんが制作。1枚あたり縦180センチメートル、横9センチメートルの版木180枚に、下絵のない状態から刀身を入れ、掘り進めた。
平和活動にも取り組み、ニューヨークから広島へ活動拠点を移した君島さんが作品のキーワードに掲げたのは、「愛と平和」。巨大な作品を制作することよりも、「広島から発信することが重要」と君島さん。2010年6月の構想から約2年を経て、今月12月9日に完成した。
制作中には、版木の裏に応援メッセージを集めた。平和を願ったメッセージが多く寄せられたが、東日本大震災の発生以降は、内容が変わっていったという。作品も震災の影響を受け、大きな龍で津波を表現するほか、原発や放射能汚染も描いた。
作品は同店8階で公開。ワンフロア200坪を特設スタジオとして開放し、墨を入れる前の彫画を床と壁面に並べる。今月20日には、広島工業大学(佐伯区三宅2)の体育館アリーナに作品を展示する。縦18メートル、横16メートル、巨大版木の全体像を見ることができるという。作品の全体像を見るのは君島さんも初。「ドキドキする」と完成形との対面に心を弾ませる。
展示時間は10時30分~18時。今月17日まで。20日の開催時間は、15時~18時30分まで。いずれも入場無料。