イワシ1,000匹の頭を焼くユニークな節分祭「焼嗅(やいか)がし」神事が2月3日、住吉神社(広島市中区住吉町、TEL 082-241-0104)で行われた。
臭気の強いものを発して厄を払う神事には、雨の降る中、子どもから年配の方まで幅広い年齢層の男女が傘を差して集まった。境内の本殿前では、赤い鉢巻きを巻いた4人の巫女(みこ)が網の上でイワシの頭を次々と焼き、本殿に押しかけてくる赤鬼や世間を騒がせた人や出来事をイワシのにおいと煙で退治する。
本殿に押しかけたのは、「世界恐慌」「サブプライム」のたすきを掛け、つぎはぎの服を着た貧乏神や「新型インフルエンザ」と書いた紙を首から下げた疫病神、大麻を持った相撲取りに居酒屋タクシー、ゲリラ豪雨。現れる度に若君は「早よ焼け そら焼け そら焼け 早よ焼け」と巫女たちに声をかけ、イワシの煙やにおいを赤い大きなうちわで赤鬼ら悪神に吹きかけた。
悪神が退散した後の境内では、豆まきが行われ、焼いたイワシの頭はヒイラギの枝に差して、お守りとして配布。参拝客は家に持ち帰り、戸口に差して1年の厄を払う。毎年神事を見に来るという男性は「今年は雨だから昨年より人が少ない」と話しながら、悪神やイワシを焼く姿をカメラに収めていた。