広島の老舗洋食店のデミグラスソース、今夏で「つぎ足し70年」

70年つぎ足し続けるデミグラスソースを使った「レストラン ミクニ」のハンバーグセット

70年つぎ足し続けるデミグラスソースを使った「レストラン ミクニ」のハンバーグセット

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 広島・宇品の老舗レストラン「ミクニ」(広島市南区宇品御幸5、TEL 082-251-5621)で提供するデミグラスソースが8月8日、つぎ足し70周年を迎えた。

ワインレッドの看板を掲げる同店

 同店は1930(昭和5)年に宇品港で貿易商や軍人を運ぶタクシー業「ミクニタクシー」を営んでいたが、1941(昭和16)年に初代に当たる故・菊岡勇さんが出兵したのをきっかけに、女手でも営業できる純喫茶「ミクニ」として開業。タクシー業でのつながりを生かし、希少な砂糖や乳製品、コーヒーなどの高級品を扱った。

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 純喫茶は戦後、勇さんが戻ってきたのをきっかけにカレーやハヤシライス、オムライスなどの洋食メニューを増やしていき、軽食を扱う飲食店として営業を開始。「デミグラスソースの始まりもここから」と3代目店主の菊岡久典さん。1965(昭和40)年には、当時では珍しいタンシチューやハンバーグ、ステーキなどを提供する洋食店として商談や接待で多く利用され、店の前にはハイヤーがいつも並んでいたという。

 店名は1990年に現在の「レストラン ミクニ」に変更。宇品海岸の電車通り沿いに構えていた店舗は、1998年に再開発のため宇品御幸へ移転した。メーンメニューは変わることがなく、現在でも途切れることなくつぎ足すデミグラスソースを使ったハンバーグやタンシチューなどの洋食。

 戦後に始めた洋食店は、当時では珍しい高級料理として認知されていたが、現在では「家庭でも作ることのできるメニュー」と久典さん。デミグラスソースにはこだわりを持ち、酸味を薄くするほか、足しげく通う常連の意見を反映させることも。「少しずつ味は変わっていると思う」が、久しぶりに同店を利用する客からは「変わっていない」と言われ「ホッとする」こともあるという。現在でも同店へは、「昭和の味」を懐かしむ人が全国から訪れている。

 営業時間は、ランチタイム=11時~14時、ディナータイム=18時~21時(火曜~木曜のディナータイムは予約のみ)。月曜定休。