広島で「戦争と破壊」がテーマの展覧会-原爆ドーム周辺で黒い花火打ち上げも

風船によって約900メートル上空に浮かべた導火線を点火する大掛かりな野外プロジェクト。蔡國強≪地球にもブラックホールがある:外星人のためのプロジェクトNO.16≫1994
Photo by Kunio Oshima, courtesy Cai Studio

風船によって約900メートル上空に浮かべた導火線を点火する大掛かりな野外プロジェクト。蔡國強≪地球にもブラックホールがある:外星人のためのプロジェクトNO.16≫1994 Photo by Kunio Oshima, courtesy Cai Studio

  • 0

  •  

 第7回ヒロシマ賞受賞を記念して、中国の現代美術家・蔡國強さんの展覧会「蔡國強(ツァイ・グオチャン)展」が10月25日より、広島市現代美術館(広島市南区比治山公園、TEL 082-264-1121)で開催されている。

原爆ドームそばに打ち上げられた「黒い花火」

[広告]

 ヒロシマ賞は、現代美術を通して平和を希求する「ヒロシマの心」を世界へアピールしようと広島市が1989年から3年に1度行っているもの。美術創作活動により平和に貢献した作家に授与されている。

 火薬を使用したプロジェクトで知られている蔡さん。中国の伝統文化や思想に根ざした独特の感性に基づきながら、人類の歴史や文化に対して鋭い眼差しを向けた数多くの作品を制作している。広島では、1994年に広島市中央公園(中区基町)で風船によって空中に浮かべた約900メートルの導火線に点火する大掛かりな野外プロジェクト「地球にもブラックホールがある」を実施。20世紀を「キノコ雲のある世紀」として表現する蔡さんの創作活動は、ヒロシマ賞の趣旨に相当すると高く評価された。

 蔡さんは、2001年に上海で開催されたAPEC(アジア太平洋経済協力会議)のフィナーレを飾った花火大会のプロデューサーや2008年の北京オリンピックの閉会式で視覚ディレクターを務めるなど近年は活躍の場を広げている。

 同展では、戦争と破壊を主なテーマとした作品を展示。フロアごとに「9・11以降」「キノコ雲」「黒雲」「自然の破壊」の4つのテーマを設ける。「自然の破壊」は約50メートルの壁面に、自然を題材にした新作の火薬ドローイング(線画)を展示。和紙に貼り付けた火薬を爆発させて描かれるモノトーン絵画は中国の山水画を思わせる。「再生へ」では、いわき市小名浜の海岸で埋もれ朽ち果てていた巨大廃船の骨組みを展示。1993年に人々の手によって掘り起こされた廃船は、「無人の花園」と名づけられ美術作品として蘇った。

 25日には、黒色の花火を打ち上げる関連イベント「Black Fireworks(黒い花火)」が行われた。

 開催時間は10時~17時。月曜休館(祝日除く)。1月12日まで。

エリア一覧
北海道・東北
関東
東京23区
東京・多摩
中部
近畿
中国・四国
九州
海外
セレクト
動画ニュース