広島県福山市に2023年3月、災害時に出動するコンテナホテル「HOTEL R9 The Yard(ホテル アールナイン ザ ヤード) 福山」(福山市大門町)が開業する予定だ。広島県への出店は初めて。
建築・不動産事業やホテル事業を手がけるデベロップ(千葉県市川市)が8月25日に発表した。同社は東日本大震災後、コンテナ型備蓄倉庫や復興従事者用宿泊施設の建設などで現地に入った。多くの避難所で生活に大きな負担を強いられている被災地の状況を目の当たりにし、発災後に安心安全なプライベート空間を迅速かつ、簡便に提供したいという思いから、コンテナホテルを考案したという。1号店は、宮城県石巻市で復興従事者用宿泊施設として利用されたコンテナを栃木県佐野市に移設して、2017(平成29)年10月に「HOTEL R9 The Yard」の先駆けとなるホテル「HOTEL R9 SANOFUJIOKA」を開業した。
その後、さらなる移設性を高めるようと1台1客室型に改良。2018(平成30)年12月に「HOTEL R9 The Yard」シリーズ1号店を栃木県真岡市にオープン。福山への出店で、全国57店目となる。
客室は建築用コンテナモジュールを利用する。1室当たりの広さは約13平方メートル。独立した客室は、隣室と壁を接しないため静粛性とプライバシー性に優れており、室内にはベッド、ユニットバス、冷凍・冷蔵庫、電子レンジ、加湿空気清浄機を備える。敷地面積は2695平方メートル。客室数はダブルルーム29室、ツインルーム5室の計34室。災害時には客室を速やかに被災地へ移設し、避難施設などに利用できる「レスキューホテル」としての役割を担う。
コロナ禍でも出動を重ねている。2020年4月に長崎クルーズ船内における新型コロナウイルス感染拡大防止対策として出動。その後は東京都三鷹市および千代田区、都内民間病院がPCR検査体制強化のために利用した。空調を完備した客室は、季節や天候などに影響を受けず、診療を行うことで医療従事者の負担軽減につながったという。2021年にも栃木県、千葉県、東京都に臨時医療施設や付帯施設として使われている。同社ではコンテナホテルを全国展開することで、豪雨や地震による自然災害に備え、災害に強いまちづくりへの貢献しようと取り組む。
予約は来年2月から受け付けを開始する。オープンは3月を予定。宿泊料金は1人5,000円から。