広島城(広島市中区基町)で10月7日、遊覧船の運航が始まった。
遊覧船は2014年から毎年、行楽シーズンの春と秋に期間限定で運航してきたが、広島市によると「乗船客からの満足度が高く、運航期間の拡充を望む声が多くあったことから、通年で運航することにした」という。
広島城は毛利輝元が1589年に築城を開始し、毛利氏、福島氏、浅野氏が城主を務め、城下町・広島のシンボルとして親しまれてきたが原爆投下により倒壊。1958(昭和33年)に天守閣を再建し、現在では武家文化を紹介する歴史博物館として、年間30万人以上が足を運んでいる。
遊覧船の運航開始によって、広島城の普請の痕跡を残す石垣や、天守閣の石落しなど、陸路からは見えにくい部分を間近に感じられることから、広島市では広島城の魅力向上や文化的価値の再発見に期待を寄せる。
1隻あたりの乗船定員は10人。船頭のほか、広島城おもてなし隊「恋水姫(こいみずき)」がガイドとして1人乗船し、見どころを案内する。遊覧時間は約35分。朝・昼・夕の時間帯に3隻が10分おきに運航し、1日計18便が運航する。
運航開始となった10月7日~9日の3連休には300人が乗船。市の担当者によると、「天候も良く、多くの方に乗船いただけた」と話す。さらに2019年は広島藩主として浅野長晟(ながあきら)氏が入城してから400年となる節目の年に当たるため、原爆投下以前の広島の歴史や文化について、多くの人に知ってもらおうと遊覧船事業を広島城とともにアピールしていく。
運賃は、大人=1,400円、中学生以下=700円、未就学児=350円。貸し切り運航も行い、1隻1万2,000円。遊覧船の運航は2017年度末までとするが、次年度以降も継続を予定する。問い合わせは遊覧船を運航するNPO法人クリーンディーシークラブ(TEL 090-2804-7185)まで。