家族と地域社会をテーマにしたインスタレーション展「日常のかけら」が4月19日から、「ギャラリーG」(広島市中区上八丁堀、TEL 082-211-3260)で始まった。
同展は広島市在住の大学講師・松尾真由美さんが主催。アメリカ、ピッツバーグの大学院に2年間進学した体験から、広島とピッツバーグをいくつかの視点から比較。地域問題や文化的な相違点を抽出して作品にした。
展示作品は、鉄パイプで組んだ家を天井から吊るしたものや、広島県産のコシヒカリで作った日本列島とゼリービーンズで作ったアメリカの地図、グラニュー糖と塩を使って作った家など約10点。ゼリービーンズは数種類の色を混ぜることで、さまざまな人種が暮らすアメリカを表現。日本とアメリカでそれぞれ馴染みのある塩とグラニュー糖を使い、生活習慣病や肥満など食生活の問題も提起する。
このほか、ピッツバーグと広島の地形をかたどったパズルを展示。ピッツバーグ在住中に、所得格差に疑問を感じた松尾さん。「同展を開催するきっかけになった」という所得格差を表す色つきのパズルを制作した。広島のパズルは、アストラムライン沿線の地域を55カ所に区分けして、75歳以上の高齢者の割合を調べた。
「自分の身の回りの家族や地域社会に目を向け、考えるきっかけになれば」と松尾さん。学生時代は油絵を先行していたが、「一つの画面だけでは表現できない空間に取り組むようになった」。作品には、インスタレーションが目立つ。視覚や聴覚、触覚など、五感を刺激するよう意識して制作する。「視覚的なもので表現することが、私には素直な表現」と松尾さん。アートを通じて、地域社会に目を向ける。
開催時間は11時~20時(最終日は16時まで)。今月24日まで。