広島にゆかりのある作家や作品を集めたブックフェア「広島本大賞」が1月中旬から、広島県内の書店で始まった。
「広島の書店を盛り上げよう」と地元書店員とタウン誌のスタッフらが取り組む広島本大賞は、ツイッター上で書店員同士が情報交換していたことがきっかけで始まったもの。互いに、書店員という素性を明かさずに交流していたが、会話の中から次第に「広島の書店員さんだと分かってきた」と企画発起人の啓文社・三島政幸さん。相手が同じ書店員と分かると、「会いたくなった」と昨年7月にオフ会を開いた。
書店同士の交流は、強豪店やライバルにあたるため、これまで行われることはなかったが、企画を通して交流が取れることも面白みの一つ。オフ会に集まった、啓文社、廣文館、フタバ図書、リブロ、紀伊国屋の5社を中心に実行委員会を立ち上げた。
作品は、小説やノンフィクションを中心に選考を開始。持ち寄った約20作品の中から、阿川大樹さん「D列車でいこう」、大崎善生さん「聖の青春」、北森みおさん「星夜行」、重松清さん「ビフォア・ラン」、津原泰水さん「ブラバン」、那須正幹さん「ズッコケ中年三人組」、光原百合さん「扉守」など11作品が選ばれた。
選考では、広島が舞台の作品や著者が広島在住または出身であること、現在も入手が可能な作品であることが条件。「(作品を)決めるときは合議制。みんなで意見を出し合って決めた」という。
今後は、2月に選考会を開き、3月に発表する大賞を選ぶ。「談話の中で決めていくのがベース」と三島さん。フェアでの売れ行きやツイッターでの反響も加味する。交流会の中であたためてきた企画。「広島らしい本を発信する志はあった。ふさわしい本を選びたい」と意欲をみせる。
フェアは、実行委員会を構成する5社が経営する県内の書店全店ほか、他書店でも展開を予定する。