10時6分、定刻より少し早く駅構内に列車が入る。この日は指定席券がすでに完売。昨年は大型観光プロモーション「しまのわ」の影響で、乗車待ちの長い列が出来ていたことを思い出し、30分前から自由席の停車位置に並んだ。どのくらい並んでいるんだろうとそわそわしながらホームに降りると、なんと誰も並んでいない。先頭をゲットし、待つこと15分。まばらながらも人が増えだした。時期の問題だろうか。混雑しているという印象は受けなかった。
広島を出発すると次の停車駅は呉。観光地にアクセスできる主要駅にのみ停車するため、自由席には快速として利用するビジネスマンの姿もある。どの停車駅でも一定数の乗り降りがあったが特に降車が多かったのはJR忠海駅(ただのうみ)。竹原駅から東に二駅、ウサギと廃墟で知られる大久野島へアクセスするフェリーが駅近くから運航している。車窓はフェリー待ちの長い行列が見えた。
忠海駅を超えると瀬戸の海が続く。海岸沿いを走るため、車窓からは砂浜も見える。浅瀬は透明感のあるエメラルドブルー、沖には島しょ部が広がる。
JR三原駅構内そばには、三原城跡も。広島城の天守閣が6つ入る日本有数の広さという天主台にはベンチを置き、語らいの場としても利用される。
浮城東通りを1本南に入ると住宅のそばに三原漁港がある。遊漁船がズラリと並ぶ港では、タコ釣りを楽しむことができる。漁期は4月~11月。
名称:JR三原駅(みはらえき)
住所:三原市城町1-1-1
海に浮いているように見えたため「浮城」の別名を持つ三原城跡は駅構内からすぐ。新幹線のホームからも見ることができる。毎年8月には駅周辺で「やっさ祭り」を開催。2日間で約8千人の踊り手が練り歩く。
JRでアクセスするなら、客船のキャビンをイメージした2両編成の観光列車「瀬戸内マリンビュー」もおすすめ。丸窓や羅針盤や地図などで装飾したユニークな車内とゆったりしたソファ席がリゾート気分を盛り上げる。1号車は全席指定、2号車は自由席。3月~9月までの土曜・日曜・祝日と8月にJR呉線経由で広島~三原を運行する。乗車時間は約2時間半。
△瀬戸内マリンビューの乗車記念切符。
三原は港周辺でよく獲れるというタコを使ったメニューが多い。タコが入ったご当地お好み焼きもある。三原ではソバ、うどんが入ったお好み焼きを「モダン焼き」と呼ぶこともあるとか。