広島・八丁堀の百貨店「福屋」本店で1月17日、屋上や百貨店をテーマにした全国初のアートプロジェクト「福屋屋上アートプロジェクト」第1回トークイベントが開かれた。
遊具や大型イベントをはじめ、憩いのスペースとして親しまれてきた屋上に新たな魅力と存在価値を見いだそうと同店の創業85周年を記念して企画した。人工芝とウッドデッキを設置する本館と例年、ビアガーデンを開く東館の2カ所で百貨店の発信力を生かした中心街のにぎわいを創出しようと取り組む。
プロジェクトメンバーは、20代~40代の若手・中堅社員13人に加え、建築家の安部良さん、ファシリテーターの有馬恵子さんなど。全国の106百貨店を調査し、屋上に遊具がある店舗は26店だが、ビアガーデンは3割強の店舗で取り組んでいることを発表。キーワード別に洗い出し、12月にコンセプトを「屋上から文化を発信」に決めた。
初回のトークイベントには、音楽家の大友良英さんがゲスト出演。屋上ライブを行い、NHK朝の連続テレビ小説「あまちゃん」の楽曲「灯台」や即興音楽3曲を披露した。当初は、「寒さで指が動かなくなるから」と15分間の生演奏の予定だったが、「あっという間の15分で」と大友さん。時間が過ぎても、「短めに」と最後は立ち上がって演奏を締めくくった。
トークは大友さんの紹介を兼ねて幼少期からの写真をスライドに投影。主宰する「音遊びの会」「プロジェクトFUKUSHIMA!」など、地域に根差した活動について映像を交えながら説明した。会場からは質問も受け付け、大友さんや安部さんが応じるシーンも。「その地域だけで考えず、人をつなげていくこと」と大友さん。安部さんは「みんなで面白くなるように場が膨らんでいけば」と期待を寄せる。
初年度は「トークイベント」「文化発信イベント」の2本柱で進め、地域の中で担う役割を探っていく。次回は3月28日にけん玉ワークショップを予定する。