岡本太郎記念現代芸術振興財団(東京都港区)は3月18日、「明日の神話」の恒久設置場所が東京都渋谷区に決まったと発表した。
故・岡本太郎が描いた巨大壁画「明日の神話」は1960年代末にメキシコの地で描かれ長年にわたり行方不明となっていたが、2003年(約35年ぶり)に発見され日本へ戻され修復された。「原子爆弾が炸裂する瞬間を描きながらもその惨劇から立ち上がろうとする人間」をテーマに描かれたもの。
被爆地・広島では、2006年から約2年半以上誘致活動を続けてきた広島誘致会が中心となり名乗りをあげ、イベントや署名活動を通じてアピールを続けてきた。
「明日の神話」広島誘致会メンバーらは、14時30分過ぎに設置場所が「渋谷区に決定した」ことを広島市民局担当者から電話で連絡を受け、約2年半以上に及ぶ誘致活動に終止符が打たれた。集まったメディア関係者らに選考理由を確認し、改めて正式な会見を開くことを述べたうえで、会見を開きコメントした。
3月18日現在、同壁画の誘致に賛同する署名の数は37,035人。「市民の熱意が財団に伝わらなかったことは残念なこと。『多くの人の目に触れること』を条件にあげられると東京(渋谷)には勝てないのはわかっていた」と同会の若狭運営副委員長。「決してこの活動を無駄にはしない。設置予定地にあげた場所(ハノーバー庭園)は、国内外のアーティストを迎えられるような場所にしたい」(同)と肩を落とした。
故・岡本敏子の「広島に置きたいわね」という言葉をきっかけに誘致活動を続けてきた同会の木村副委員長。「アートという分野でここまで活動が発展したのは広島では初めてだと思う。この作品だからできたこと」と涙ながらに思いを語った。
同会はこの決定を受けて解散するが、新しい名前で活動を存続していく方針。「『明日の神話』と広島に関わる活動は、これで終わりということでなく『まだ終わっていない』と考える」(同会)とコメントを残した。
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