小林聡美さん主演の映画「犬に名前を付ける日」記者発表会が10月6日、広島市内のホテルグランヴィア(広島市南区松原町)で開催された。
動物の命の尊さを伝える同作は2012年から、犬の殺処分をテーマに1人で取材を始め、「むっちゃんの幸せ~福島の被災犬がたどった数奇な運命~」「生きがい千匹の猫と寝る女」などを発表してきた山田あかね監督が取材した4年間の記録をもとにしたドキュメンタリードラマ。
愛犬の死をきっかけに、「犬の命を助けられる人になろう」と保護施設や動物病院を訪ね歩いていた山田監督は先輩映画監督に促され、「犬の命」をテーマに映画の撮影をスタート。当初、ドキュメンタリー映画にするつもりだったが、「むっちゃんの幸せ」でナレーションを担当した小林聡美さんと出会い、ドキュメンタリーとドラマが融合した作品を思いついたという。
ドキュメンタリーは、動物愛護センターから犬や猫を救い出す人や東日本大震災で置き去りにされた動物を保護する人たちの活動を追いかけ、200時間を超える映像から制作する。千葉を中心に250人を超えるボランティアが活動する保護団体「ちばわん」や、広島市で1000頭を超える動物を保護する「犬猫みなしご救援隊」も劇中に登場する。
犬猫みなしご救援隊は2013年から広島市動物管理センターで殺処分対象の多くを占める猫の全頭引き受けをはじめ、2013年10月から同所における殺処分ゼロを更新している。猫の年間引受数は約1000~1500匹という。
ドラマ部分では、犬猫の置かれる現状や保護団体の取り組みを知り、犬と人のつながりにもいろいろな形があることを知った小林さん演じる主人公のテレビディレクター久野かなみが自分には何ができるのか葛藤する。小林さんは保護団体のスタッフと事前打ち合わせを行わず撮影に臨み、気になったことはその場で聞いていたという。「撮影中は、その場で起きることを真摯(しんし)に受け止め、その場で出会った人や犬との関係性、雰囲気を大事にするよう心掛けた」と撮影を振り返った。
公開は10月31日から、全国で順次公開予定。サロンシネマでは11月14日から。