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広島・江田島の「ビオトープ」活動再開へ 豪雨被害で中止、児童ら参加で

豪雨により被害を受けたビオトープを再生させる児童たち。再び生き物が住みやすい環境にするため、10種類の植物を植樹した。

豪雨により被害を受けたビオトープを再生させる児童たち。再び生き物が住みやすい環境にするため、10種類の植物を植樹した。

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 広島湾に浮かぶ江田島・能美島といくつかの島からなる江田島市で3月、「平成30年7月豪雨」被害を受けた標高394メートルの古鷹山(ふるたかやま)をビオトープと学校林を再生する活動が行われた。

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 ビオトープは、生命(ビオ)と場所(トープ)を合わせた造語で、さまざまな野生の生き物たちが共生している生息域や空間を指す。江田島市では、教育プログラムの一環として、学校や行政、地域などが一体となって活動に取り組んでいるが、「平成30年7月豪雨」により、家屋浸水や断水、土砂崩れなど、大きな被害を受け、2005(平成17)年から続けていたビオトープ活動もいったん中止になった。

 発災から手付かずの状態が続いていたが、「元の自然環境に戻したい」という市民や児童たちの思いを受けて、市が2020年に復旧工事に着手した。1年かけて荒れた土地などを整備して今回、日本ビオトープ協会の主席ビオトープアドバイザー梶岡幹生さん指導の下、切串小学校の児童たちを中心に約2年ぶりにビオトープ作りを再開した。

 児童たちは、再び生き物が住みやすい環境にするため、ヤシャブシ、カワヤナギ、ヤマツツジ、カサスゲなど、もともと生育していた10種類の植物を植樹した。参加した児童からは、「何年後かには、もっときれいなビオトープになっている。見るのが楽しみ」との声も。今月末には、地元のメダカやドジョウなど、ビオトープにいた生き物を池に放流する予定。

 江田島市内にあるほとんどの小学校は、小規模であることから、生き物観察会やサマーキャンプ学習など、島内の自然を生かした教育プログラムを各校で実施している。切串小学校は、1978(昭和53)年に発生した古鷹山の山林火災で失った緑を取り戻そうと翌年の1979(昭和54)年に「切串緑の少年団」を結成。これまで、山内に所数する学校林の手入れやせん定作業や間伐など、森林保全活動を学校教育の一部として行ってきた。活動は、地域環境の美化のための顕著な功績として評価され、2018(平成30)年に環境省から「地域環境美化功績者表彰」を受けている。

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