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被災地の空に泳げ、こいのぼり-広島からこいのぼり300本届ける

渡波中学校(石巻市)へ届けたこいのぼり(重富寛社長撮影)

渡波中学校(石巻市)へ届けたこいのぼり(重富寛社長撮影)

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 東日本大震災からの復興を願って被災地の空にこいのぼりを泳がせようと広島の酒販店が中心となって集めたこいのぼりが4月25日、宮城県石巻市の中学校に届いた。

集まったこいのぼりの一部

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 子どもの日を前に、被災地へこいのぼりを届けたのは重富酒店(広島市中区銀山町)の重富寛社長と同社の元社員でダーツバーオーナーの西本竜二さん。「コイの街広島から希望と夢を乗せて被災地へ届けよう」とブログやツイッターなどを通じて協力を呼び掛け、締め切りの4月23日までに、「予想よりもはるかに多い」300本が集まった。

 協力者は、取引先や学校関係社、一般企業、家庭などさまざま。四国や大阪からも届いたという。メッセージや手形が記されたこいのぼりは翌24日昼、1トントラックに乗せて広島を出発。翌日、20時間かけて石巻市の渡波中学校に届けた。

 当日は雷雨に見舞われたため作業の中止も考えたが、直前に天候が回復。国旗の掲揚台と持参したロープを使ってこいのぼりを掲げた。「町が灰色や茶色で染まる中、大人も子どもも上を見上げることが少ない」と重富社長。多くの喜びの声が寄せられる中、「鮮やかなこいのぼりが泳げば、気持ちが前向きになるのでは」とも。

 被災地へこいのぼりを届ける取り組みは震災後、東京で行われた、飲食店の接客技術を競うコンテスト「エスワンサーバグランプリ」の会議に参加した際、仙台の酒販店仲間から東北の状況を聞いたのがきっかけ。同コンテストの広島支部長を務める重富社長は、「酒屋の仲間として何かできることはないかと思いながら話し合った」結果、復興するまで、広島で東北の酒を販売する手伝いをしようと考えたという。

 トラックで東北へ向かう際、もう一つ考えたのは、広島と仙台の子どもたちをつなぐこと。PTAの経験を持つ重富社長は、当時の友人によるアイデアで、こいのぼりにメッセージや手形を記して届けることを決めた。

 届けたこいのぼりは「預けるのも置いて帰るのも迷惑」と、2日間で石巻市、名取市、仙台市にある5つの小学校と中学校で掲揚した。残りは、石巻市のボランティアセンターと仙台市の教育委員会に預けるという。重富社長らは27日、仕入れた東北の酒1,000本をトラックに積んで帰路につく予定。

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